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環境マーケットレポート
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供給減でもEUAは低迷、UKAは活発なオークションを受けて反発。エネルギー市場の低迷続く。

EUAのオークション量は通常量に回復。エネルギー価格はここ数年で最低の水準に。Redshaw社の見通し:横ばいから弱含み

  • EUAの終値は前週比0.50ユーロ増(0.6%増)の89.43ユーロ。取引レンジは5.12ユーロに縮小(前週は5.62ユーロ)。 スロースタートした市場で週末に向けて価格が上昇し、金曜に91.25ユーロの最高値を付けたが、週末の利食いで上昇分の大半が消失。その後、90ユーロ超えで再び売り意欲高まる。
  • 85.45(200日移動平均)~91.25ユーロの値幅で取引。いずれのレベルでも新たな短期的傾向が定着する見通し。

EUAに対するUKAのディスカウントがさらに拡大して排出枠価格が反転

200日移動平均が維持されて出足好調。しかし、ヨーロッパ全土の温暖な天気、潤沢なエネルギー供給、90ユーロのテクニカルレジスタンスにより、強気が後退。Redshaw社の見通し:横ばいから強含み

  • EUAの終値は前週比3.97ユーロ増(4.7%増)の88.93ユーロ。取引レンジは5.62ユーロに縮小(前週は7.60ユーロ)。200日移動平均を超えて強気が優勢となったことで木曜に90.12ユーロの最高値に到達。しかし、価格上昇で売り意欲がやや高まり、週末までに1ユーロ以上下落。次の強気のターゲットは90ユーロのテクニカルレジスタンス。これを反転のシグナルととらえるべき。
  • EUAの日中ボラティリティが前週比40%近く低下し、平均取引レンジはセッション当たり2.13ユーロに縮小(前週は3.58 ユーロ)。

温暖な天候、供給増、マクロ的懸念により、エネルギーコンプレックスとともに炭素市場も低迷。

EUイノベーション基金に向けた排出枠のオークションが延期されたことで価格が一時的に高騰;中央ヨーロッパで温暖な気温に加えて荒天と降雨の予報。Redshaw社の見通し:横ばい

  • EUAの終値は前週比3.1%減(2.69ユーロ減)の84.96ユーロ;取引レンジは7.60 ユーロに拡大(前週は4.96 ユーロ)。リパワーEU計画の一環であるEUイノベーション基金に向けた排出枠のオークションが延期されたことで火曜に90.85ユーロの最高値を記録(「その他のニュース」を参照)。その結果、売り意欲が高まり、木曜に週の最安値となる83.25ユーロまで下落したが、週末にかけてわずかに回復。85.20ユーロという200日移動平均値が引き続き重要な攻防線。
  • EUAの日中ボラティリティが前週比60%近く上昇し、平均取引レンジはセッション当たり3.58ユーロに拡大(前週は2.26ユーロ)。

EUAとUKAは下落するもヨーロッパの一部に一時的に寒波が訪れたことで弱気のセンチメントが後退

「Fit for 55」による改革でEUA価格の見通しが上昇;寒冷な北欧と暑い南欧との間に大きな温度差;2022年のコンプライアンス・サイクルが終了Redshaw社の見通し:横ばい

  • EUAの終値は前週比2.5%減(2.21 ユーロ減)の87.65ユーロ;水曜まで弱気が市場を支配し、取引レンジは4.96ユーロに縮小(前週は7.22ユーロ)。週後半は比較的落ち着き、取引が活発化。最終的に週初めの下落が一部回復。
  • 週半ばの最安値は85.15ユーロ。その後、エネルギー・コンプレックスが反発し、テクニカルな買いと利食い売りでEUAがわずかに回復。

ボランタリー炭素市場 アウトルック 4月


本年第1四半期はボランタリー炭素市場(VCM)が大いに注目され、REDD+への批判高まる。


    知っておくべきこと

  1. IC-VCMが「コア炭素原則」(CCPs)を発表
  2. IPCCの最新報告書が気候変動対策と炭素除去の必要性をさらに強調
  3. カーボンクレジットプロジェクトの妥当性を複数の学術報告書が疑問視
  4. 第1四半期の需給は安定するも価格は2022年第1四半期の最高値から横ばいのまま
  5. ICAOがCORSIAの次のフェーズの詳細を発表

温暖な天候と需要衰退で売り圧力高まる

EU ETSの「Fit for 55」政策パッケージを欧州議会が承認しても強気センチメントは持続せず;コンプライアンス期限前の最終週Redshaw社の見通し:横ばいから弱含み

  • EUAの終値は前週比4.5%減(4.25 ユーロ減)の89.86ユーロ;テクニカルなサポートレベルが下がり、週の大半を弱気が支配したことで取引レンジは7.22ユーロに拡大(前週は5.40ユーロ)。「Fit for 55」の承認を受けた強気センチメントはすぐに弱気に転じた。
  • EUAの日中ボラティリティはやや高まり、平均取引レンジはセッション当たり2.98ユーロに拡大(前週は2.77ユーロ)。

天候温暖な中で一定の値幅の低調な取引に終始した炭素・エネルギー市場。原子力発電とストライキにともなう問題が影響。

温暖な天候が続いて上昇の勢いが減速;月曜にEU ETSの改革を巡る協議が行われる中、コンプライアンスの期限迫る;EUとイギリスのインフレデータを契機に市場のボラティリティ増大かRedshaw社の見通し:横ばい

  • EUAの終値は前週比2.7%減(2.64ユーロ)の94.11ユーロ。低調な市場を反映して取引レンジは5.40 ユーロに縮小(前週は6.31ユーロ)。EUAの日中ボラティリティは低下し、平均取引レンジはセッション当たり2.77ユーロとなった(前週は3.13ユーロ)テクニカルなサポートレベルは94.14ユーロ、93.10ユーロおよび92.00 ユーロ以下。上方のレジスタンスは95.37ユーロ、96.50 ユーロ、98.00ユーロ。
  • 天候温暖な中でエネルギーコンプレックスも全体的に一定の値幅の低調な取引に終始した。原因は原子力発電とストライキにともなう問題。ガス・電力・原油価格は上昇し、石炭価格は下落。4月後半は温暖な天候と風力発電量の増加が見込まれ、エネルギー・炭素価格への影響が予想される。フランスでの争議の延長と原子力発電所の停止が要注視。

石炭価格と市場全体のリスクオンセンチメントと並行してEUAが高騰;低調なオークションでUKAのボラティリティが増加;気温は再び例年並みに

銀行業界の問題の沈静化で世界の株式市場が回復へ;コンプライアンスの期限まで残り3週間;Redshaw社の見通し:横ばいから強含み

  • 強気のセンチメントが持続してEUAの終値は前週比約5.4%(5ユーロ)増の96.75ユーロ;取引レンジは6.31ユーロに拡大(前週は6.17ユーロ)。上昇傾向の主な要因は駆け込みのコンプライアンス購入、フランスでのストライキと原子力発電所の停止、風力発電量の低下、オークション量の減少、市場全体のリスクオンセンチメント等。
  • エネルギーコンプレックスはやや複雑。石炭と石油が高め。ガスは低めの週となった。EUAの日中ボラティリティはやや高まり、平均取引レンジはセッション当たり3.13ユーロに(前週は2.34ユーロ)。テクニカルなサポートレベルは96ユーロ、94.70ユーロおよび91.75ユーロ以下。上方のレジスタンスは98ユーロ、100ユーロ、101.20ユーロ。

イギリスとEUの市場でボラティリティが低下;リパワーEU計画のオークションが7月にスタート;イギリスで国境炭素税の協議はじまる

市場が銀行業界の混乱から全般的に回復;肌寒く風も弱い4月でエネルギー市場に引き続き上昇圧力;イースター休暇でオークションが混乱して市場が停滞Redshaw社の見通し:強含み

  • 5日連続の上昇を受けてEUAの終値は前週から3.91ユーロ増加して(4.5%増)91.75ユーロ。取引レンジは6.17ユーロに縮小(前週は9.39ユーロ)。コンプライアンス購入、気温の低下、リパワーEU計画のニュースを受けて5日連続して反発。リパワーEU計画では当初、3,000万トン以上のオークションが見込まれていたが、2023年の予想量は1,650万トン。
  • 先週の中央ヨーロッパの天候が例年より寒冷だったことから、エネルギー市場の下支えでEUA価格が急騰。 全体的に市場が沈静化したことでEUAの日中ボラティリティが著しく低下。平均取引レンジはセッション当たり2.34ユーロとなった(前週は4.46 ユーロ)注目すべきテクニカルレベルは90.71ユーロ、90ユーロおよび87.66ユーロ以下。上方のレジスタンスは92ユーロ、93.26ユーロ、94.14ユーロ。

銀行業界への懸念が世界的に再浮上して4日間の上昇が打消し

銀行業界への懸念で価格入札に大きな影響が予想される中、グローバルなマクロ経済が引き続き焦点;気温低下と生産財購買が下支えとなるも、オークションの予定は通常に復帰 Redshaw社の見通し:横ばい

  • EUAの終値は前週から0.56ユーロ減の87.84ユーロ(0.6%減); 取引レンジは9.39ユーロに縮小(前週は13.91ユーロ)銀行業界への世界的懸念が市場全体に影響し、EUAが急落。回復基調が金曜に反転。
  • 全体として見ると、前述の季節温度と市場の混乱が影響し、エネルギー・コンプレックスの問題は解消されていない。EUAの日中ボラティリティは著しく低下し、平均取引レンジはセッション当たり4.46ユーロとなった(前週は5.09ユーロ)しかし、金曜に価格が急落し、当日の取引レンジは7.52ユーロに拡大。下落傾向で次に注目すべきテクニカルレベルは86.62、86.30、84.75ユーロ。上方のレジスタンスは88.75、90.00、90.95、91.54ユーロ。

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