UKAは引き続き上昇傾向。一方、2023年に公表されたTNACの不透明性にともない、EUAは頭打ち。EUA、UKAともに200日移動平均超えを維持。

  • EUAの終値は前週比2.3%減の74.07ユーロ。取引レンジは4.05ユーロに縮小(前週は7.10ユーロ)。供給不安がガス価格に大きく影響し、EUAは横ばい。月曜にわずかに上昇し、週最高値の77ユーロに達したが、再生可能発電量の増加により、週半ばに再び弱気が支配し、週最安値の72.95ユーロまで下落。その後、200日移動平均がサポートとなり、木曜に再び買いが発生。しかし、週半ばの下落を補填するには至らず、74.07ユーロで引けた。
  • 日中平均ボラティリティは2.29ユーロに低下(先週は2.99ユーロ)
  • 天気:南ヨーロッパ全体の気温上昇で電力需要増加の見通し。
  • ガスとLNGの貯蔵量はともに微増。それぞれ容量の70%(先週は68%)と52%(先週は51%)のレベル。
  • 取引ポジションデータ:投資ファンドがネットショートポジションを削減。2023年10月以来の最低水準に。現時点で-670万トン(前週の1,400万トンから52.3%減)(5月24日取引終了時点のデータ。
  • 次のテクニカルサポートレベルは73.14ユーロ、72.18ユーロ、70.51ユーロ。注目すべきレジスタンスレベルは75.77ユーロ、77.44ユーロ、78.40ユーロ。
  • データ:TNACが6月1日に公表された。詳しくは「コンプライアンス市場に関するその他の最新情報」を参照
  • ECBによる政策金利引き下げの発表は6月6日の予定。

風力発電量が急増。しかし、強気のテクニカルパターンが形成される中、投資ファンドはロングポジションを積み増し。Redshaw社の見通し:横ばいから強含み
  • 先週のUKAは概ね上昇傾向。2.47ポンド増(5.36%増)の48.58ポンドで引けた。週のスタートは58ペンス安。水曜のオークションによる供給増を見越して弱気が支配。水曜午前は売りが持続。しかし、オークションの好調で価格が持ち直し、引き続き買いが旺盛であることが明らかに。プラスに転じたのは週末。エネルギー市場全般の上昇で強気が加速。48ポンドのサポートレベルを突破した。
  • 日中ボラティリティは1ペンス減の1.75ボンド(前週は1.76ポンド)。取引レンジは4.97ポンドに大幅縮小(前週は6.31ポンド)。
  • イギリスのガス貯蔵量は44%に増加(前週は42%)。気温は平年をやや上回り、再生可能エネルギー発電量は増加の見通し。
  • 先週のUKA価格の好調を受け、EUAとUKAの週平均スプレッドは14.65%縮小;前週の-24.09ユーロに対し、先週は-20.50ユーロ。
  • 次の重要なサポートレベルは48ポンド、44.75ポンド、43.60ポンド。一方、レジスタンスレベルは49.27ポンド、50ポンド。

Carbon ETFの排出枠ポジションは不変。
  • KFA Global Carbon ETFの保有量は減少。NAV(Net Asset Value:純資産総額)は2.8%増。
EUAのテクニカルな短期見通し
  • 5月23日に78.09ユーロの突破を試みるも失敗。以後、価格はそれを下回るレベル。
コンプライアンス市場(法的取り組み)に関するその他の最新情報
  • 市場安定化リザーブ(MSR)が余剰排出枠のオークション量を2億6,700万トン削減;二酸化炭素の回収・貯留を認める法案をドイツ内閣が承認
ボランタリー炭素市場(自主的な取り組み)に関する最新情報
  • AO500のクレジット価格が7.9%減少;米国が十全性の高いボランタリー炭素市場に関する新たな原則を採択
再生可能エネルギー市場に関する最新情報
  • ブルックフィールドがネオエンの株式66億ドルを取得へ; バローレムが農業食品の中小企業連合と20年のPPAを締結
技術的見通し
以下は受賞歴のあるクライブ・ランバート氏(Futurestech社)による分析。
  • 短期傾向:強含み
  • 中期傾向:横ばいから強含み
  • 昨日(2024年5月27日)までの相場動向先週、以前からの目標であった78.10ユーロが突破されたことで売り手が出現。木曜と金曜は十字線。しかし金曜には押し目買いの目安となる長い下影線が出現。そして昨日は陽線が出現。今日は78.10ユーロを望む状況でスタート。次の目標は81.25ユーロ。強気筋に追従。
  • 概要/考察:フィボナッチ・リトレースメントで78.09ユーロと特定されたレジスタンスレベルに達したことで売りが再び発生。
  • 推奨取引:押し目買い
石炭価格高騰するも発電の週平均スプレッドへの影響は限定的

  • 右記の図(上)は、EUA、ドイツ電力、ARA石炭(石炭のベンチマーク)、TTF天然ガス(天然ガスのベンチマーク)の一年先の先物価格の推移。
    • Y1(期近12月物)を見ると、先週、 EUAは2.3%減、ドイツ電力は1.2%減、ARA石炭は4.7%増、TTFガスは0.7%減。
  • 右記の図(下)はドイツにおける発電のマージンの今後1年間の予想推移(燃料源は石炭とガス)。
    • Y1石炭のマージン(効率42%)は-4.51ユーロ/MWh 前後、Y1ガスのマージン(効率59%)は7.73ユーロ/MWh 前後。
コンプライアンス市場(法的取り組み)に関するその他の最新情報

市場安定化リザーブ(MSR)が余剰排出枠のオークション量を2億6,700万トン削減:欧州委員会は2023年6月1日、排出枠流通量(TNAC)を公表。これにより、市場安定化リザーブ(MSR)を介して需給の調整を図っている。2022年実績の11億3,480万トン当に対し、2023年末時点でのTNACは11億1,170万トン。これは多くのアナリストの予測をわずかに下回っており、実質的に2億6,700万トンの排出枠がオークションの対象から外され、2024年9月から12ヵ月に渡ってMSRに蓄えられることになる。その結果、オークション当たりの販売量は約116万トン減少する。

2024年のTNACは2025年6月1日に公表される予定。

二酸化炭素の回収・貯留を認める法案をドイツ内閣が承認:ドイツ内閣が先週の水曜、特定の産業部門を対象に二酸化炭素の回収・貯留(CCS)を認める法案を承認した。ヨーロッパ最大の経済国として、自国の重工業を維持しながら2045年までにカーボンニュートラルの達成を目指す。

なお、電化が困難な炭素集約型産業(石炭火力発電所を除く)にはCCSの導入が認められる。CO2パイプラインのインフラ開発に必要な法的枠組も同時に整備される予定。

ドイツでは以前から世論がCCSに反対しており、緑の党にも批判されていることから、CCSの導入は限定的だった。さらに、貯留が制御不能となるリスクに加え、石炭火力発電所の存続につながることが懸念されるため、批判はさらに高まっていた。しかし、ヨーロッパ最大の排出国であるドイツはこうした見解を見直し、削減困難な排出を対象にCCSを導入することを承認。2045年に向けてカーボンニュートラルを達成する計画を今回発表するに至った。これにともない、ドイツは今後、年間3,400~7,300万トンのCO2を回収しなければならない。
ボランタリー炭素市場(自主的取り組み)に関する最新情報

米国が十全性の高いボランタリー炭素市場に関する新たな原則を採択:バイデン政権が先週の火曜、「ボランタリー炭素市場に関する政策綱領と原則」(Voluntary Carbon Markets Joint Policy Statement and Principles)を発表した。市場の十全性を確保し、同市場でのカーボンクレジットの取引を促進することが狙い。

企業がネットゼロ目標を設定し、SBTiがスコープ3排出量の削減にカーボンクレジットの利用を認めたことでカーボンオフセット・プロジェクトやカーボンクレジットの需要が急増している。今回の発表はこの機をとらえたもの。また、代表的なボランタリー・イニシアチブ(VCMI やICVCM等)が立ち上げた市場の需要・供給サイドの双方が大筋合意している「十全性性原則」を十分に反映した内容となっている。

ブルームバーグNEF(BNEF)によると、規制枠組の整備にともない、ボランタリー炭素市場の価値は2050年までに1.1兆ドルに達する見通し。
 
再生可能エネルギー市場に関する最新情報
本年第22週AIB再生可能エネルギー:

2024年AIB GO仲値=0.88ユーロ(7.4%減)

発電事業者が構想的視点から、それぞれの水力発電戦略を見直している模様。北欧の貯水池の水位は現在30.5%。これは過去20年の同時期の平均である42.9%を大きく下回っている。今年に入って再生可能エネルギーの利用が一層重視されていることの証左。

今週、太陽光発電量はヨーロッパ全土で急増し、風力発電量も火曜以降に再び増加する見通し。

UK RGGO(Renewable Gas Guarantees of Origin:再生可能ガス原産地証明)の指標価格:
購入目安:14.50~16.50ポンド、売却目安:17.00~19.00ポンド

UK REGO(再生可能エネルギー原産地証明書)の指標価格:
CP22: 14.75~15.00ポンド; CP23: 8.80~9.10ポンド

ブルックフィールドがネオエンの株式66億ドルを取得へ: カナダの資産運用会社ブルックフィールドが5月30日、ブルックフィールド・リニューアブル・パートナーズとシンガボールの政府系投資ファンドであるテマセク・ホールディングスによる買収計画を発表した。対象はフランスの再生可能エネルギー企業ネオエン。買収金額は66億ドルとされている。

ブルックフィールドはネオエンの株式の53.32%を大株主から1株あたり39.85ユーロで購入する。その後、残りの株式については同価格で株式公開買付けを行い、規制当局による承認を受け、来年第1四半期にネオエンを私有化する。

ヨーロッパで今年最も重要な非公開化取引のひとつである今回の買収は、投資家の間で再生可能エネルギーへの関心が高まりつつあることを示している。

バローレムが農業食品の中小企業連合と20年のPPAを締結: フランスの再生可能エネルギー事業者バローレムと農業食品の中小企業連合であるアライアンス・グループが太陽光発電で20年のPPAを締結。年間最大で12.4GWhの電力を取引する。

これにより、アライアンス・グループはその電力消費量の15%を再生可能エネルギーで賄うことになる。同PPAは2024年中に開始される予定。



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