ヨーロッパのガス市場の活況を受けてEUA価格が変動;ファンダメンタルズ不変でUKA市場は低調

  • EUAの終値は前週比4.32ユーロ増(6.4%増)の71.83ユーロ。取引レンジは9.55ユーロに拡大(前週は5.22ユーロ)。温暖な気温と中東情勢の沈静化が予想される中、エネルギーコンプレックスが軟化し、下落傾向で週がスタート。しかし、ガス・電力価格の急騰にともない、火曜に再び強気が支配。木曜は水曜のわずかな落ち込みから持ち直し、70ユーロのレジスタンスレベルを突破。過去最高の7%増となり、73.19ユーロの史上最高値を記録。金曜にはやや落着き、86セント減となったものの、前週比6.4%増で引けた。
  • 日中平均ボラティリティは3.53ユーロに上昇(前週は2.57ユーロ)
  • 天候:気温は平年並み。風は弱め。
  • ガス貯蔵量は63%に微増(先週は62%)。LNG貯蔵量も58%に増加(先週は55%)。
  • 昇天日により、木曜または金曜のオークションは休催。
  • 取引ポジションデータ:投資ファンドのネットショートポジションは5.8%減の-1,840万トン(先週は-1,960万トン)。4月26日取引終了時点のデータ
  • 次のテクニカルなサポートレベルは71.05ユーロ、その後は70.18~70.28ユーロ。注目すべきレジスタンスレベルは72.60ユーロ、74.49~74.56ユーロ、74.90ユーロ。

市場ボラティリティの上昇に対してUKAは比較的安定そのため、テクニカル指標は不変。Redshaw社の見通し:横ばい
  • UKAの終値は前週比85ペンス増(2.34%増)の37.15ポンド。エネルギー市場の変動と温暖な天気が見込まれる中、70ペンス安でスタート。しかし、弱気のセンチメントは持続せず、週後半にわずかに上昇。オークションの好調が価格を押し上げたが、金曜の反発で週最高値の38.80ポンドに達したことに弱気筋が強く反応。そのため、他のマーケットに追随することはなく、直近の値幅内での取引に終始した。
  • 日中ボラティリティは1.38ポンドに上昇(前週は1.18ポンド)、取引レンジは3.04ポンドに拡大(前週は2.89ポンド)。
  • イギリスのガス貯蔵量は容量の39%まで減少(先週は41%)。今週の気温は平年以上となる一方、風力・太陽光発電量は平年のレベルをわずかに下回る見通し。
  • EUAに対するUKAの週平均スプレッドはEUAの好調にともない、拡大:先週の-24.50ユーロに対し、今週は-26.64ユーロ。
  • 次の重要なサポートレベルは34.56ポンド、33.01ポンド、31.30ポンド。一方、レジスタンスレベルは37.69ポンド、38.40ポンド、39.91ポンド。

Carbon ETFの排出枠ポジションは不変。
  • KFA Global Carbon ETFのEUA保有量は不変。NAV(Net Asset Value:純資産総額)は3億2,400万ドル。
EUAのテクニカルな短期見通し
  • 金曜に微減して陰線が出現したが、70.28ユーロのサポートレベルは維持された。短期的には上昇傾向。推奨取引:押し目買い
コンプライアンス市場(法的取り組み)に関するその他の最新情報
  • 欧州鉄鋼協会が2024年の需要予測を下方修正;2023年の排出量の減少を受けてアナリストがEUA価格の下落を予測
ボランタリー炭素市場(自主的な取り組み)に関する最新情報
  • カーボンクレジットの価格動向は不安定;高品質のカーボン・プロジェクトの特定に向け、Sylveraがプロジェクトを選別するツールとカタログを発表。
再生可能エネルギー市場に関する最新情報
  • GO価格が大幅下落;マイクロソフトが再生可能エネルギーの開発に100億ドル以上を投資してデータセンターに電力を供給
技術的見通し
以下は受賞歴のあるクライブ・ランバート氏(Futurestech社)による分析。
  • 短期傾向:強含み
  • 中期傾向:横ばいから強含み
  • 昨日(2024年5月6日)までの相場動向: 大陽線が出現し、70.28ユーロがサポートレベルに。74.90ユーロや78.09ユーロといったレベルまで上昇するにはこのサポートレベルの維持が鍵。金曜に微減して陰線が出現したが、70.28ユーロのサポートレベルは維持された(最安値は71.37ユーロ)。昨日も市況は不透明だったものの、最終的に強気が支配したことから、短期的には上昇傾向。チャート上の陽線は注目の200日単純移動平均線であり、これが最後の2セッションでレジスタンスレベルになった。
  • 現時点での推奨取引:押し目買い
  • フィボナッチ分析によると、65.80ユーロが維持されたことで、次の目標は78.09ユーロ。
ガスと炭素の価格の上昇が電力市場の上昇傾向を抑制し、発電のスプレッドはほぼ不変。

  • 右記の図(上)は、EUA、ドイツ電力、ARA石炭(石炭のベンチマーク)、TTF天然ガス(天然ガスのベンチマーク)の一年先の先物価格の推移。
    • Dec Y1(一年先の12月先物価格)を見ると、先週、 EUAは6.4%増。ドイツ電力は4%増。ARA石炭は0.2%減。TTFガスは2.6%増。
  • 右記の図(下)はドイツにおける発電のマージンの今後1年間の予想推移(燃料源は石炭とガス)。
    • Y1石炭のマージン(効率42%)は-3.40ユーロ/MWh 前後、Y1ガスのマージン(効率59%)は8.49ユーロ/MWh 前後。
コンプライアンス市場(法的取り組み)に関するその他の最新情報

欧州鉄鋼協会が2024年の需要予測を下方修正:欧州鉄鋼協会(Eurofer)が先週の月曜、2024年の需要予測を下方修正した。同協会による下方修正は今年2回目。5.6%だった当初の成長率は3.2%に引き下げられた。前回の下方修正は2月に行われている。

Euroferは昨年も鉄鋼需要予測を下方修正しており、現時点での需要成長率の予測は-9%となっている。これは前回予測の-6.3%を上回っている。一方、昨年の需要低迷と並行し、当初の予測ほどではないものの、鉄鋼消費量には緩やかな回復が見込まれている(当初予測の5.6%増に対し、直近の予測では3.2%増)。

しかし、全体として見ると、地政学的な緊張や高まる経済不安、高騰するエネルギー価格、インフレ、高金利といった要因により、鉄鋼市場の下落傾向は深刻化している。また、米連邦準備銀行が現在の高金利(5.25%~5.5%)を維持することを最近になって発表したため、鉄鋼の消費と生産の遅々とした回復がさらに減速する可能性がある。これに加え、アジア勢の価格攻勢による影響を象徴する最近の事例がドイツ鉄鋼大手ティッセンクルップによる20%の生産削減だ。生産が縮小すれば排出枠需要も減少するため、当然その影響は炭素市場にもおよぶ。

2023年の排出量の減少を受けてアナリストがEUA価格の下落を予測:排出量が過去最低となった2023年に続き、2024年から2026年にかけても減少が見込まれるため、アナリストがEUAの予想価格を下方修正した。

ロイターの調査は今年の平均価格を63.96ユーロ、来年の平均価格を74ユーロと予想している。これらは今年1月の予想価格をそれぞれ13.7%、11.2%下回っている。アナリストによると、この下落予想は欧州委員会が4月初めに発表した2023年EU炭素排出量の落ち込みと整合している。具体的には、再生可能電力量の増加と不況の影響で過去最高の15.5%減が見込まれている。

ボランタリー炭素市場(自主的取り組み)に関する最新情報

高品質のカーボン・プロジェクトの特定に向け、Sylveraがプロジェクトを選別するツールとカタログを発表:ボランタリー炭素市場の評価機関であるSylveraが最近、カーボン・プロジェクトの広範なカタログに続き、「Screenings」という評価ツールを発表した。市場参加者は「Sylveraカタログ」により、高品質のボランタリー炭素プロジェクトにともなう便益とリスクを特定することができる。Sylveraはボランタリー炭素市場全般に渡る情報の断片化に対処する意向。投資家は「Sylveraカタログ」を介し、9つの主要な基準管理団体(Gold Standard, ACR, CAR, EcoRegistry, Puro, CDM, Emission Reduction Fund of Australia, BC Carbon Registry)による約20,000件のプロジェクトにアクセスできる。一方、「Screenings」を利用すれば、8タイプのプロジェクトに関する100件以上の評価結果にアクセスできる。これらのプロジェクトにはREDD(森林減少・森林劣化の抑制活動)、ARR(新規植林・再植林・植生回復)、IFM(森林管理の改善)、ICS(包括的炭素基準)、RES(再生可能エネルギー源)、草地、耕作地、埋立地メタンに関するものが含まれている。

 
 
再生可能エネルギー市場に関する最新情報
本年第18週AIB再生可能エネルギー:

2024年AIB GO仲値=1.06ユーロ(24.1%減)

ヨーロッパのGO全般の長期に渡る下落傾向は先週も持続。需要低迷と供給過剰による不均衡がヨーロッパの水力発電のGO価格を引き続き押し下げてる。また、ヨーロッパ全体の祝祭日にともない、先週の取引はやや低調に終わった。同じ理由により、5月の取引量も減少する見通し。

一方、イタリア政府が開発過剰とされる太陽光発電の現状を是正すべく、有効耕作地へのソーラーパネルの設置を禁止した。これにより、太陽光エネルギー価格は2030年までに最大で50%上昇する可能性があり、今後の容量増の抑制も懸念されている。

大局的に見ると、経済全般の低迷がGO価格に大きく影響している。今後の価格動向は第3、第4四半期のヨーロッパの製造業の業績次第だが、反発の可能性が高まることを期待したい。

UK RGGO(Renewable Gas Guarantees of Origin:再生可能ガス原産地証明)の指標価格:
購入目安:14.50~16.50ポンド、売却目安:17.00~19.00ポンド

UK REGO(再生可能エネルギー原産地証明書)の指標価格:
CP22: 11.99~12.46ポンド; CP23: 8.60~9.00ポンド

マイクロソフトが再生可能エネルギーの開発に100億ドル以上を投資してデータセンターに電力を供給: マイクロソフトがブルックフィールド・アセット・マネジメントと提携し、推定100億ドルの投資を行うことを発表した。AIとデータセンターへの電力供給を目的に再生可能エネルギー容量を拡大することが狙い。

合意内容によると、マイクロソフトは10.5GW(180万世帯の電力消費量に相当)の発電能力を将来的に確保する。この発電能力は系統と接続され、系統を介してデータセンターに電力が供給される。

また、マイクロソフトはブルックフィールド・アセット・マネジメントを支援し、2026年から2030年にまず欧米で開発される大規模風力・太陽光発電所に必要な資金を確保する。10.5GWという発電能力は世界最大の拠点として知られるバージニア州のデータセンターの電力消費量(3GW)の約3倍に相当する。



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